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Archive for the ‘The NBA – Strategy, Organization and Business’ Category

[NBA]2013年記事アクセスランキング

本ブログを始めて約2年。昨年は記事数も増え、ご縁にも恵まれたおかげで本ブログを読んでもらう機会が増えた。2014年になって1ヶ月が経ってしまったが2013年のアクセスランキングを掲載する。

NBAの事業の柱(=商品)であるチケット・動画配信・スタッツなどに関する解説記事が中心で、そこにいくつか小ネタ系の記事が入り込んで来ている。

■2013年記事 アクセスランキング

10位:[NBA] NBAのチケット販売戦略(チケット販売プロバイダーとの提携)

NBAの収入源の柱の1つ、チケット収入に関して。ticketmasterと提携して新規/2次販売の両方を1つのプラットフォームで販売できるようになった。

9位:[NBA] Google Glassで7-footerの選手が見ている世界を体験する

小ネタ系。インディアナ・ペイサーズのロイ・ヒバートがGoogle Glassを装着して練習している様子を紹介しました。

8位:[NBA] シーズンスケジュール発表とその盛り上げ方

話題の少ないオフシーズンにどのようにネタを作っていくかは重要です。その1つであるシーズン・スケジュール発表についての紹介記事。

7位:[NBA] NBAのオンライングッズ販売   NBAStore.com

NBAの全チーム統一のグッズ販売プラットフォーム、NBAStore.comの解説記事。

6位:[NBA] もしファンがマネーボールを楽しめたら   NBAとソフトウェア大手SAPのマネーボール的提携

2012-13シーズン、最も大きなインパクトのあったと思われるスタッツのファン向けの公開に関する解説記事。

5位:[NBA] NBAのGlobal戦略   縁のある選手を突破口に各国の市場のステージに対応する

シーズンオフである夏の間のNBAの選手および各チームの活動を見ながら、Global展開をどのように行っているかを解説した記事。

4位:[NBA] ルーキーたちが新ユニホームで変顔写真撮影!?

こちらは小ネタです。ルーキーたちがいち早く名前を覚えてもらうためのきっかけとも考えられる、イベントの作り方について。

3位:[NBA] NBAの動画配信 – NBA League Pass

NBAが力を入れている動画配信の解説記事。

2位:[USAB] バスケアメリカ代表の再建

2004年のアテネ五輪での惨敗以降、アメリカ代表がどのように再建されたかについての記事。ジェイソン・バスケット氏のクリニックに参加して出会った主催者がFacebookで紹介してくれたのをきっかけに、非常に多くの方に読んでもらった。

1位:[NBA] プレイの質の数値化と新たなプロダクトの提供   SportVU Motion Trackingの導入

今シーズンからNBAが導入したSportVUの解説記事で、導入が発表されてすぐに書いた。
トヨタ自動車アルバルク東京の岡田選手 @ysk_okada がツイッターでの紹介をきっかけに多くの方に読んでいただいた記事。

■番外編:ソーシャルメディア関連

[NBA] 2013 Social Media Award  Social Mediaへのインパクトを評価する

[NBA] NBAとTwitterがソーシャルな試合動画観戦方法で提携 – Social Highlights

[NBA] NBA選手によるスポンサーTwitterアカウント乗っ取り

NBAはSocial Mediaを積極的に活用しているが、そのうちのいくつかの取り組みを紹介したもの。ランキングには入らなかったが、評判がよかった記事。

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[USAB] バスケアメリカ代表の再建

今バスケ日本代表はFIBAワールドカップ予選の真っただ中。アメリカ大陸でもそろそろ予選が始まるころだが、2012年オリンピックで優勝したアメリカ代表(USAB)は2014年ワールドカップの出場権を獲得しているため、この夏に予選を戦う必要もない。

そんな中でもつい先日次世代のアメリカ代表を担う若いNBA(大学生も少数)選手たちを30名程度集めたMini-Campが行われた。

そのMini-campの総括のようなかたちでNBA.comに以下のような記事が掲載されていた。

With talent pipeline full, USA Basketball turnaround is complete

アメリカ代表チームDirectorのJerry Colangeloを中心として、どのようにチームを再建してきたかという点について書かれている。それを要約してみたい。

■背景

NBA選手を擁したにも関わらず、2002年の世界選手権の6位、2004年アテネオリンピックの3位、2006年世界選手権の3位と、ヨーロッパやアルゼンチン・プエルトリコ等の台頭によりもはやアメリカは勝てない相手ではないという認識が広まっていた時期に、立て直しの切り札としてDirectorに就任したのがColangeloだった。

当時過酷なシーズンを戦った後の貴重なオフである夏の期間を代表活動に充てる選手はなかなかおらず、タレントは集められず毎回異なるメンバーで継続性にも乏しかった。その結果が10代から同じメンバーで活動してきたアルゼンチンへの敗北など、上記の結果につながっているといわれている。

■再建の第1歩:コーチKの登用とKobe、LeBronの参加確約

2005年にColangeloが就任したときには再建のために必要なことは何でもやる権限を与えられた。そして最初の仕事としてColangeloはヘッドコーチ(HC)としてNBAのHCではなく、Duke大のCoach K(Mike Krzyzewsk。マイク・シャシェフスキー)を指名した。

次にKobe、LeBronを口説いた。伏線としてKobeはNBA入りしていなければCoach KのDuke大に行っていた可能性があり、2004年にはLakersのHC打診をしていたこともあり、既にCoack Kとは関係が築けていたことがある。

Magic JohnsonとLarry BirdがDream Teamに参加することで他の選手が参加すると決めたように、KobeとLeBronがUSABに参加することは他のスター選手たちを参加させるために必要なことだった。Coach KとColangeloはKobeやLeBronのアドバイスをあおぐというかたちで、トップダウンではなくパートナーとして2人の選手との関係を構築しようとし、それが2人の参加を決意させた。それによって2008年の北京オリンピックでWade、Anthony、Kiddという面々が参加することになった。

チームではKobeは例によって一人黙々と練習をし他の選手とも積極的に交流しなかったのだが、LeBronがKiddたちを全面に出してチームをリードさせつつ、必要な場面でKobeをチームの輪に入れメンバーたちをまとめていたという。

# 余談ではあるが、Coach Kが就任して最初の世界大会は2006年世界選手権(日本で開催)だった。準決勝でギリシャに負けたのだが試合ではパパルーカスとスコルツァニーティスのピックアンドロールをアメリカ代表は全く止められず敗北した。ちょうど観戦していたのだが名前も聞いたことのないギリシャの選手がアメリカの守備を切り裂いて得点していたのは結構衝撃的だった・・・。

Coach Kも2006年の敗北から、メンバーさえ集まれば勝てるということはなく常にチームとしてよくなることの必要性を感じていた。そのために選手の決定は選考委員を都度設けるのではなくColangeloからの招待制とし、選手たちにはKobe、LeBronたちスター選手とプレーできることの価値を説くとともに、数年間のコミットが必要なことも説いた。

記事冒頭には今回のMinicamp参加選手たちのコメントがあるが、選手たちはみな選ばれたことを栄誉と考えるし、何よりも早くそのチームでプレイしたいと述べている。これこそがCoach KとColangeloが望んでいた状況だ。

選手たちのUSABに対するマインドを変えることができ、USABに対するRespectを取り戻したこと。これがまず第1のステップだった。

■Nikeとの関係改善とビジネス面での再建

世知辛い話だが、選手は無給とはいえ選手を集めて、スタッフを集めて合宿を行い強化するにはお金が必要だ。

USABはそれまでNikeと契約していたのだが(※)現在のPrimary SponserであるNikeとは2004年のアテネオリンピックで関係が微妙になっていた。というのは2004年のアテネオリンピックにはNikeが巨額投資をしていたLeBronが出場していたのだが、当時19歳だったこともありほとんどプレイタイムを与えられることはなかった。これによって難しくなっていたNikeとの関係を修復するのがColangeloの仕事だった。

幸いColangeloはこれまでの経験(Arizonaでの野球チームのGM)でNikeのPhil Knightらの幹部とも交流があった。個人的なつながりを生かして”NBA”ではなく”USAB”という別のチーム(=ブランド)と契約する体裁を明確にし、結果として2004年以前の4年間で$9million(約9億円)だったものを2008年までの4年間で$33million(約33億円)まで増額した。(2004年以前は$9millionでは費用が足りずNBAが補てんしていた) さらに2012年までの4年間では$35millionを契約し、これにより下の年代の代表を強化するための費用もねん出できた。

またNikeをPrimary Sponsorとして維持することができたため、それをテコに他のスポンサーを呼び込むことができた。記事の中で触れられているだけでも24 Hour Fitness, American Express, Burger King, Cisco, Dr. Pepper Snapple Group, Gatorade, Jeep, Las Vegas Events, MetroPCS and Right Guard、そしてTiffanyがある。さらにまだいくつか交渉中のものもあるという。

■選手層の充実と下の年代の代表強化

USABが招待した選手のみで構成された2008年の北京オリンピックのあとは、Colangeloは選手のPipeline(補給線)の構築に着手した。U-19世代から始めて8~10年程度国際試合に出てくる選手を確保したいと考えた。選手は当該期間の全ての大会に出れなくても少なくともオリンピック1回と世界選手権1回に出ることを要望している。理想的なローテーションとしては前回の国際大会から半数(6名)、新しく選ばれるメンバーが半数(6名)程度とのこと。

現時点では2012オリンピックメンバー以外に2010世界選手権に出たメンバー(Curry、Love、Rose)、そして出ることが確実視されていたGriffinやHowardに加え、今回のMini-Campの30名がPipelineに加わった形になる。

さらにU-19についても継続性を意識した強化を行い始めた。フル代表と同様、スピードを選手層の厚さを活かしたスタイルのバスケをし、コーチについても継続して指導できるような環境を整えることで、U-19代表で活躍した選手が将来的にフル代表でも活躍しやすいようにしている。

ジュニアからフル代表まで同様のスタイルのバスケをするエリート選手が最低50名程度いる。そのいずれの選手もアメリカを代表することに誇りを持ち、コミットできることを楽しみにしている。まさにアメリカのバスケ大国の復活といえるだろう。

■Colangeloの成し遂げたこと

以上で要約終了。以下は著者の考え。

Colangeloが2005年に就任してから成し遂げたことを並べると

  • アメリカ代表に貢献できることの意義を認識させ、選手が喜んで貢献できる状況にマインドセットを変えさせた
  • 充実した選手層とその補給線を確保した
  • 強化のためにやりたいことができるだけの財政的余裕(お金)を手に入れた

ということがあげられる。

強化と財政再建という両面を一人で行うというのは稀有な存在といえるし、そんなことをできる人は世の中にそういない。

ただ何よりも “the architect of the American basketball renaissance”と書かれているように全体の設計図を描き、その実現に向けて8年の長きにわたって率いてきた、それこそがアメリカ代表を再建させるために必要なことだったのだと思う。

また記事を読んで感じるのは、ヘッドコーチだけでできることは多くないということ。Coach Kも2006年世界選手権では負けている。Coach Kと二人三脚でColangeloがサポートしながらやってきたからこそ再建を成し遂げられた。強化というのは継続的かつ我慢強さが求められる取り組みだし、多くの国のように負けたからといって頻繁にHCを変更しても実を結ばないものなのだろう。

※ 元記事では2004年以前にnikeと契約していたとは書いておらず、文脈から勘違いして読み取っていたため修正しました。@gobluetree629 さんにご指摘いただきました。

「THE NATIONAL BASKETBALL ASSOCIATION – Business, Organization and Strategy」の構成

THE NATIONAL BASKETBALL ASSOCIATION – ビジネス、組織とその戦略

著者:Frank P.Jozsa, Jr.(Pfeiffer University, USA)

出版:World Scientific Publishing Co. Pte. Ltd.

Contents – 目次

Foreword – 序文

Preface – 前書き

Chapter 1     Introduction – 本書の紹介

Chapter 2     League Expansions and Mergers – リーグの拡大と合併

Chapter 3     Team Territories and Relocations – チームの立地と移転

Chapter 4     Franchise Organizations and Operations – フランチャイズの組織と事業運営

Chapter 5     Basketball Arenas and Markets – バスケットボールアリーナと市場

Chapter 6     NBA Domestc and Foreign Affairs – NBAの国内/国外情勢

Appendix: Tables – 付録:表

Selected Bibliography – 参考文献

Index – 索引


Book Organization – 本書の構成(P15 – Chapter 1)より本書内容の抜粋は以下。

Chapter 2     League Expansions and Mergers

第2章は「リーグの拡大と合併」について。

特にこの章では”なぜ”、そして”いつ”リーグの役員たちがNBAへの新チームの加入や
リーグの拡張を承認したか(他のリーグからの転入も含めて)について書いている。
さらに各チームのホームでの入場者数やディビジョン/カンファレンス/リーグでの
タイトル獲得にどの程度成功/不成功だったかについてのデータを提示している。

NBAの拡大や合併が短期・長期のビジネスへ与える影響・効果そしてチームが
増えることによる正味の収入増加について述べることがこの章でのハイライトである。

Chapter 3     Team Territories and Relocations – チームの立地と移転

一方で3章ではNBAの独特かつ重要な特徴であるチームのホームテリトリーについて論じる。
アメリカやカナダの当初本拠地としていたれた都市/マーケットエリアからいつ、そして
どのような理由で移動することになったかを示す。
この章ではデータを使って移転の前後のシーズン毎にホームゲームの入場者数と勝敗の
成績を見ていく。さらにこれらのチームがどこに移転したか、合併されたか、それとも
撤退したかどうかとその理由もあわせて説明する。

第2章のリーグの拡大と合併と似ているトピックではあるが、この章ではNBAのチームの
テリトリーと移転の商業的、人口統計的、そして経済的側面についても述べている。

Chapter 4     Franchise Organizations and Operations – フランチャイズの組織と事業運営

第4章ではNBAのフランチャイズの組織と運営について調査し明らかにする。
例えばバスケットボールチームの収入と費用の額や営業収入、そして企業としての
市場価値およびそれらがどこから来るかといった内容である。
数年に及ぶ各クラブのチケット平均価格とファンコスト指数(Fan Cost Index)を
比率・金額で表にしている。また大なり小なりのチーム間での違いがあればそれも書いている。

また職員、事務局に関する色々な情報や経営陣、副社長、取締役、マネージャーの
職務についての情報がある。さらにこの章では他のチームより優れていて効率的で
より利益があがるように運営できているチームの理由についても触れる。

Chapter 5     Basketball Arenas and Markets – バスケットボールアリーナと市場

第5章では2008~2009およびそれ以前のNBAのレギュラーシーズン で使われた
アリーナ、チームがホームとしたマーケットについて明らかにする。
またこれら施設の築年数、キャパシティ、資金調達方法、コストとベネフィットについても述べる。

さらにこの章ではボブキャッツのシャーロット(ノースカロライナ州)、スパーズの
サンアントニオ(テキサス州)、グリズリーズのメンフィス(テネシー州)といった
最新のアリーナの経済的側面についても述べる。
この章ではNBAのいろいろなアリーナとホームマーケットをビジネス的な面から比較し
評価しているといえる。

Chapter 6     NBA Domestc and Foreign Affairs – NBAの国内/国外情勢

第6章はNBAの最も独特で卓越した国内/国外事情とそのなかでいくつかのキャンペーン、
イベント、企画について明らかにする。

たとえば海外で行われたエキシビションゲームやプレシーズン、レギュラーシーズンや
アメリカ国内でのディベロップメントリーグとサマーリーグについてである。
また過去のポストシーズンでチャンピオンシップシリーズに参加したチームの結果に
ついてのデータもある。

第6章ではBasketball Without Borders、NBA Caresや NBA Globalのような
国際的活動な振興活動や広報とその社会的影響、またこれら活動からNBAが得た
友好的感情、イメージ、評判を強調している。