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[NBA] NBAのGlobal戦略 – 縁のある選手を突破口に各国の市場のステージに対応する

NBAにとってシーズン中はアメリカ国内で試合をしていることが多いため、海外で活動するのはオフシーズンとなる。今年のオフシーズンも例年通り活動をしているが、そのうちのいくつかを紹介しつつ、NBAがどのように各国の市場に入り込んでいっているかを分析してみたい。

■全体像

まずはNBAのGlobalな広がりの全体像を確認するために以下のサイトを参照。

NBA.com Global Map

NBA Global Mapと題してNBAのPlayerがいる国、NBA.comのサイトがある国、facebookのNBAのページがある国を示した地図が画面の右側に表示されている。やや語弊があるかもしれないが、Playerがいる国は選手の供給地、NBA.comのサイトとfacebookページがある国は市場として見ていると考えられる。

そのように見ていくと

  • ヨーロッパ、南米:Player供給地かつ市場
  • アフリカ、ロシア、中米:Player供給地
  • アジア:Playerはいないが市場

とざっくり認識されていると考えられる。

■Basket Without Borders(BWB)

NBAとしてのGlobalでの活動のうち一番大きなものはこのBasket Without Borderだろう。ミッションには

Basketball without Borders (BWB) is the NBA and FIBA’s global basketball development and community outreach program that unites young basketball players to promote the sport and encourage positive social change in the areas of education, health, and wellness.

とある。19歳以下の選手を集めて、バスケットボールのスキルのトレーニングだけではなくCommunity支援活動でもあり、教育・健康など社会的な課題についても取り組むためのキャンプとなっている。

Asia, Africa, Europe, Americaの4地域に分けて1年に2地域ずつ実施されている。その地域にゆかりのある選手+現役のNBA選手を送り込んでいる。去年はAsia, Africaで行われ、Asia地域のBWBは東京で行われている。田臥選手も参加し、現在bj-league秋田ノーザンハピネッツの富樫選手がMVPを受賞した。(BWB Asia 2012の公式サイト

今年はEurope、Americaの2地域で行われた。特にAmericaについてはアルゼンチンで開催され、アルゼンチン出身のNBA選手(ジノビリ、スコラ、デルフィーノ、プリジオーニら)が勢ぞろいする豪華なメンバーによる開催となった。

各キャンプではスキルのトレーニング、スクリメージだけでなく、合間にチームワークや選手として成功するためのNBA選手によるアドバイスや体験談の共有があり、それを通してキャンプ参加者のモチベーションを喚起している。またCommunity支援の一環でNBA選手によるボランティア活動も行っている。(これはNBA CaresというCommunity支援プログラムの一環)

■Pre-season Games

BWBと並んでオフシーズンの目玉としてはPre-Seasonゲームがある。今年のプレシーズンゲームのスケジュールは以下のようになっている。

  • ヨーロッパ
    • Oklahoma City Thunder vs. Fenerbahce Ulker @ Istanbul, Turkey Ulker Sports Arena
    • Philadelphia 76ers vs. Bilbao Basket @ Bilbao, Spain Bizkaia Arena at the BEC
    • Oklahoma City Thunder vs. Philadelphia 76ers @ Manchester, UK Manchester Arena
  • アジア
    • Houston Rockets vs. Indiana Pacers @ Manila, Philippines Mall of Asia Arena
    • Houston Rockets vs. Indiana Pacers @ Taipei, Taiwan Taipei Arena
  • 南米
    • Chicago Bulls vs. Washington Wizards @ Rio de Janeiro, Brazil HSBC Arena
  • 中国
    • Golden State Warriors vs. Los Angeles Lakers @ Beijing, China MasterCard Center
    • Golden State Warriors vs. Los Angeles Lakers @ Shanghai, China Mercedes-Benz Arena

どれも非常によく考えられたカードとなっている。

ヨーロッパのイスタンブールは2010年世界選手権、ロンドンは2012年オリンピックの会場、ビルバオは2014年世界選手権の会場のうちの1つ。そこに2010年の世界選手権でMVPを受賞したKevin Durant率いるOKC Thunderを派遣している。LondonではRegular Seasonのカードも行われる。

アジアについてはYao Mingの時代から太いパイプを持ち台湾出身のJeremy Lin擁するHouston Rocketsと飛ぶ鳥を落とす勢いのPacersを派遣。またつい先日行われたFIBA Asia選手権でフィリピンは世界選手権出場権を獲得し、台湾もベスト4に残ったことで熱が高まっている。

南米に派遣したWashington WizardsにはBrazil代表のNeneがいる。そして2016年のオリンピック開催地でもある。

中国は2008年のオリンピック開催地でもあり、Kobe Bryantが今年訪れたばかり。Yao MingやYi JianlinらNBA選手を多く輩出していたが今は現役でNBAで活躍している選手はおらず、熱が冷めないようにテコ入れといったところか。

■選手個人による訪問

NBAの公式サイトに掲載されているだけで、スーパースターたちの海外訪問は以下の通り。

この中ではPau GasolのみUnicefの活動の一環としてSyriaを訪れており少し毛色が違う。(もともとPau Gasolが医学一家に育ったことも大きい)

特筆すべきはChris Boshのインド訪問。まだまだインドはバスケの実力は発展途上だが人口規模を考慮すると有望な市場であることは間違いなく、そのための先行投資ともいえるだろう。

■各国の市場としてのステージとそれに対するNBAのアクション

こうやって書いてきた内容を総合すると、おそらく国ごとに市場としてのステージがあり、そのステージに対応したアクションをNBAは採用しているのではないかと考えられる。

  • 市場としてこれから発展する可能性があるもしくは発展させたい国(日本、インド、ポルトガル、アルゼンチン)
    ⇒BWBの開催や選手の個人としての派遣
  • 市場として立ち上がりつつある国(フィリピン、台湾、ブラジル)
    ⇒プレシーズンゲームの開催
  • 世界クラスの大会を開催し既に市場が立ち上がっている国(トルコ、イギリス)
    ⇒プレシーズンゲームの開催とレギュラーシーズンの開催

またその過程で必ず各国に関係のある選手を絡ませている。各国に直接関係のある選手がいない場合はスーパースターを派遣している。選手を突破口にしながらチーム、リーグとしてのアクションに発展させていき市場を開拓していく。

選手を突破口にしながら各国の市場としてのステージに合わせたアクション、イベントを開催するという緻密に考えられた戦略を採っているといえるだろう。

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