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[NBA] もしファンがマネーボールを楽しめたら – NBAとソフトウェア大手SAPのマネーボール的提携

■バスケットボールは数字のスポーツ?

バスケットボールは数字のスポーツだ。

24秒ルール(24秒以内にシュートを打たなければいけない)のため、両チームに平等に攻撃機会が回ってくる。その攻撃の機会をどのくらい得点につなげるか(フィールドゴール(FG)%=シュートの確率)、相手の攻撃をどれだけ防ぐか(ディフェンス・リバウンド、ブロック)、自分たちの攻撃の機会をどれくらい増やすか(オフェンス・リバウンド、スティールなどでターンオーバーを誘う)、攻撃機会のロスをどれだけ減らせるか(自チームのターンオーバーを減らす)という要素の組み合わせでゲームはできている。
そういう意味ではサッカーよりも野球に似ている。

そんなことを学んだのは以下の本から。バスケットボールにおけるマネーボール的分析の最初だと思われる。個人スタッツ(Stats:数字)だけでなくチームスタッツについても触れているが、まず最初に書かれているのは「バスケットボールはどういうゲームか?」ということだった。
Basketball On Paper: Rules And Tools For Performance Analysis

もちろんエキサイティングでスピードとパワーにあふれるプレーを見るのは好きな人が多いが、上記のような数字の側面について語るのが好きな人もいるはずだ。(筆者も例にもれずNBA.comでboxscoreが公開されるようになったころから、数字を眺めてゲームの内容を想像するのが好きだった)

■もしファンが自分で数字を分析してマネーボールを楽しめたら?

そんな筆者のようなファンにNBAのスカウトが使うようなStatsの分析ツールが無料で公開されたら?それを実現したのがNBAとSAPの提携だった。

New service is stats heaven for fans (SportsBusiness.comより)

【事例】NBA、「SAP HANA」を使って新スタッツ・ページを開設 – 深いデータをファンに初公開 (COMPUTERWORLDより)

NBAはソフトウェアパッケージ大手のSAPと提携し、ファンが自分で自由に試合の分析データを見ることができるプラットフォームである、stats.nba.com をリリースした。

NBA Stats

このプラットフォームでは基本的なboxscore(得点、シュート本数・成功率、リバウンド、アシスト、ブロック、スティール、ターンオーバー)だけでなく、advanced statsと呼ばれる攻撃100回あたりの得点・失点、リバウンドの機会のうちどれだけを確保しているか、クラッチタイム(試合残り5分間で5点差以内)のパフォーマンスなど、boxscoreだけでは分析できない数字まで提供している。

■NBAにとってのメリット

NBAにとってのメリットは、プレイだけでなく数字が好きなファン層(おそらく試合を観戦するだけのファンとは違う層)を取り込めること、そしてじっくり見るので結果的にNBA.comサイトへの滞在時間が延びること、オフシーズンでも楽しめることがあげられる。
これらは全てNBAのメディアとしての価値を押し上げる。

またSAPは世界的にトップ企業(Fortune 500企業のうち85%)を顧客にしており、世界では”The Best-Run Businesses Run SAP”というキャッチコピーでそれをアピールしている。
NBAもそのトップ企業(組織)の一部であるという宣言でもありブランド価値の向上に大きく寄与したはず。

■SAPにとってのメリット

SAPにとってもこれは渡りに船の機会だった。

SAPはちょうど去年の初めにHANAというインメモリの高速データベースを自社開発し発表していた。
Advanced Statsは高度で膨大な計算処理を必要とする。また消費者向けBtoCサイトでもあるため、それほど悠長にはファンも待ってくれないため高速な結果表示が求められる。

チャレンジングではあるが、ビッグデータという言葉が流行し、大量データ分析が必要になっていく時代の中で、HANAの力量を示すにはまたとない絶好の機会だったといえる。

■(例によって)コンテンツを最大限に生かす仕組み

NBA Statsのリリース以降、NBAは使い方の説明ページの作成、直近迫ったオールスターの選手をStatsを使って分析する記事の作成、Stats専用のTwitterアカウントによる毎日の#StatLineOfTheNightの配信および試合前のStatsによる予測等を行っている。

使い方ページ – Welcome to NBA.com/Stats

NBA.comでいつも記事を書いているライターによるオールスター選手の分析 – Eastern Conference All-Stars By the Numbers

NBA.com/StatsのTwitterアカウント(毎日配信)

コンテンツであるNBA.com/Statsをアピールし抜け目なく活用するあたりは、前の記事([NBA]AwardとAwardスポンサーのモデルについて)でも書いたようにコンテンツにレバレッジをかけていくというアプローチといえるだろう。

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