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Archive for 2012年7月

[NBA] NBAでのコメンテーターの役割

スポーツが産業として栄えていくには競技に直接関係のある部分(試合、チケット、会場、チア等のエンターテイメント)以外にも、周辺(というと語弊があるかもしれませんが)の産業が栄えていくことが重要だと考えています。たとえばグッズ販売、雑誌や試合以外のニュースなどのメディア、データ提供などなど。

その中でNBAがよくできているなぁと感じることの一つがNBA.comにおけるコメンテーターの充実ぶりです。今日はその点について書いてみます。

■NBA公式サイトでのコメンテーターの出演

Barkley on Team USA

上のリンクはNBA選手で構成されたオリンピックのアメリカ代表チームについてのコメント。コメントしているのは初代Dreamteamのメンバーでもあるスーパースター、Charles Barkley。現役時代から辛口で有名でしたが、現役引退後も特技(?)を生かしてこのような仕事についています。

Barkleyは一例ですが、SHAQやKenny SmithらそうそうたるメンバーがNBA.comでコメンテーターとしてビデオ出演をしています。彼らが選手時代の経験を生かして試合や選手に関しての深い洞察を提供しています。

■元選手のNBA.comへのコメンテーター出演によりNBAが提供するもの

ファンもより深くバスケを理解することができ、興味も深まります。ファンとしては好きな選手やチームに関して詳しいと思われたいでしょうからね。もちろん私も(笑)。

コアなファンの知的好奇心を見たすこともできますし、比較的新しいファンがよりバスケを理解し、好きになるための機会を提供しているともいえます。こういう努力が地味なファン層の拡大に貢献していると思います。

■元選手のNBA.comへのコメンテーター出演によりNBAが得るもの

もちろん選手にはタダで出演してもらっているわけではないでしょう。NBAとしてはある程度の報酬はコメンテーターに払っているでしょうが、

コメンテーターの出演によってビデオコンテンツが増える
→ ビデオの再生回数が増えれば広告表示される機会が増える(広告枠が増える)
→ 広告スポンサー獲得につながる

ということで報酬分はある程度回収していると思われます。(自社でNBA.comというメディアを持っていることの強みを活かしているともいえます)

■NBAが成功している要因は?

実際にコメンテーターの出演しているビデオの広告表示(インプレッション)データはありません。ですが上記のBarkleyのビデオが6000view程度、同じページに表示されている他のBarkleyのビデオも最低4000view程度は獲得しているようです。

これを見る限り

1. Barkleyのコメンテーターとしての価値(ソフトの価値)
2. Barkleyの価値を金銭化する仕組み(=NBA.comというすでにある程度の効果が期待できるメディア)

がそろっていることが成功の要因と考えられます。

2.については本記事の話題とするコメンテーター以外の要因も考えられるため、ここでは1.価値の高いコメンテーターを番組に登用するという方向について少し考えてみたいと思います。

スポーツリーグ・チームのアドバンテージは選手がそのままセカンドキャリアでコメンテーターとしても活躍する可能性があるということです。やっぱり選手がいうことは説得力あると感じてしまいますし。実際に現役時代から知性的、分析的な選手も一定の人数いるはず。(Jリーグでいうとツネ様とかでしょうか)

それを選手の個性ととらえて、現役時代からファンにアピールしておくというのは一つの方法です。ヒーローインタビューに登場することは少ないかもしれませんが、自チームのメディアや雑誌のインタビューに積極的に出させることでセカンドキャリアとしてスムーズにスタートし、最初から人気のある(価値のある)コメンテーターとして活躍できる可能性が広がります。

実際Barkleyは現役時代からインタビューではかなり毒舌だったという印象ですが、その中にはやはりきらりと光る”眼”というのがあったのだと思います。

■まとめ

今回はコメンテーターという役割を題材に書きましたが、これは論評・分析を提供する雑誌等でも同じことがいえるでしょう。論評・分析を提供する人(=ソフト)の価値およびそれを金銭化する仕組みをつくることで周辺の産業としても発展が期待できます。

とくにスポーツでは選手を使うことでソフトの価値アップの面でのアドバンテージがあります。選手が現役時代から分析力・説明する能力の高い人を見極めて育成していくのが将来的なメディア産業の発展に貢献すると考えます。

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[USAB] NBAとUSAオリンピック代表チームの協力関係

オリンピック関連でもう一つ。今度はバスケットボールネタ。

アメリカは1992年のDreamteam以来、NBA選手で構成されたアメリカ代表チームをオリンピックに送り込んでいます → USA Men’s National Team

それについて考察してみたいと思います。(ネタ元はNBA、アメリカ代表の公式サイトとTwitterだけであり、それ以上のところは筆者の想像によるものです)

USAB(アメリカ代表チーム)とNBAの協力関係

今はちょうど準備段階で何試合か親善試合をしている段階です。2年前の世界選手権のときの印象はあまりないのですが、今回はNBAのホームページからUSAB(アメリカ代表チーム)のHPへのリンクが張られたり、NBA.tvでハイライトを流したりと非常に協力的な印象です。また選手も積極的に#USAB2012 というハッシュタグをつけてtwitterに投稿していますね。

#USAB2012(Twitter)

通常オリンピックチームは報酬もなく、けがをするリスクもあるためNBA側(特にチーム)としてはこれまではあまり協力的じゃなかった印象があります。それに比べると今年はNBA側としては選手を送り出すからには徹底的にそれを活用してやろうという意図が見えるようです。

オリンピック期間に入ってしまうと放映等の権利はもろもろオリンピック委員会が独占的に使うことになるので、準備段階でできるだけNBAとしてもバックアップし、かつ選手が出ている試合・練習を積極的に流すことで露出をアップしています。

NBAがアメリカ代表チームをバックアップしている理由は?

◆オフシーズンにもトッププレイヤーの試合を見る機会

6月中旬にNBA Finalが終わった後はNBAはSeason Offに入ります。その間Summer Leagueや移籍市場がありますが、トッププレイヤーたちは新しいシーズンのキャンプまでは通常オフで試合に出ることがありません。それがオールスター以上の豪華な布陣での試合を見ることができるのです。

例年で考えたらシーズンが終わってオフに寂しい思いをしているファンたちにはもう一回オールスターのようなお祭りが来たようなもの。この機会を使わない手はないですね。

◆Global展開の一部として

また昨今加速しているGlobal展開の一部とも考えられます。オリンピック期間に入ってしまえば確かにNBAのリーグとしての放映はできません。ですが、NBAも国際化し多くの海外の選手がNBAで活躍している。今回の各国代表選手にも現役NBA選手や、将来のNBA選手が多数います。

オリンピック準備期間を通してのアメリカ代表チームへファンの関心アップ
→ ファンがオリンピックを観戦する
→ ファンがアメリカ以外のチームでの現役・将来のNBA選手を発見
→ その選手がNBAに来たら試合観戦

という流れでさらにNBAを観戦に行く動機が増える機会となりえます。

以上のように考えるとオリンピックにNBA選手を派遣しているのはNBAにとっても実においしい機会といえます。リスクをとっているのだからその見返りを求めるのは当然ともいえるのかもしれませんが、したたかだなぁと改めて思います。

準備期間中に試合、NBA.tv、グッズ等の売上はUSABとNBAと各チーム間でどのように分配しているのかわかりませんが、3者とも納得するスキームをおそらくNBAは作れるということが、今のNBAのリーグとしての強さの一つなのでしょう。

P&Gのオリンピックスポンサー広告

オリンピックが近づいてきたので、関連した話題を。

少し前にもTwitterで話題になったP&Gのオリンピック公式スポンサーCM。全世界共通のCMです。

2分間という大作そして全世界展開。母親という一番のターゲットを選手の母親に代表させる、そしてProud Sponsor of Mums.というメッセージ。単なる宣伝広告だけではない、スポーツの新しい使い方だなぁと感じた作品だった。

カテゴリー:Sports Business